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裁判所などの公的機関を利用せずに裁判外で債権者と個別に交渉して、利息・損害金・毎月の支払額の減免をしてもらい、負債を圧縮し債務整理の和解の成立を目指すものです。
任意整理を行うためには、法的な知識、交渉力の2つが必要とされる為、通常の債務者が単独で行うことは難しくサラ金業者は債務者本人が任意整理の交渉をしようとしても応じてくれないのがほとんどですので、代理権を付与された司法書士・弁護士などの専門家に依頼する方がいいでしょう。
これらの専門家に依頼すると、介入通知を出してもらえ、債権者の督促をストップさせた上で、ゆっくりと債権者と交渉できるというメリットもあります。
任意整理で目指すのは、債務の引き下げと、支払計画の合意です。
通常、弁護士・司法書士は利息制限法に基づいて債務額を確定して、債務者の収入の中から3年間(場合によっては5年程度)で返済できる見込みがあれば任意整理を選択することになります。あまりにも長期間にわたる返済計画では業者もなかなか応じてくれないのが現状です。
債務の引き下げの法的な根拠となるのは、「引き直し計算」と呼ばれているものです。
サラ金業者の大半は利息制限法を越える金利でお金を貸しているのがほとんどです。
*利息制限法の上限金利は以下のとおりです。
消費者金融等の債務については、大半が利息制限法との差(グレーゾーン)について、引き直し計算をすることができます。
例えば、100万円を年利29.2%で消費者金融から借りている人がいたとします。その人は、月に、24,333円の利息を支払っていることになります(100万円×年利29.2%÷12カ月)。しかし、利息制限法では、100万円以下の借金は年利18%以下なので、29.2%−18%=11.2%も多く利息を支払っていることになります。この多く払っている9,333円は、利息として支払っているわけですが払いすぎですので、これを元本から差引きます。
すると、24,333円の利息を支払っても1銭も元本は減らないはずが、99万667円に元本が減ることになるのです(100万円−9,333円=99万667円)。
毎月、この調子で元本を減らしていけば、5年も支払いつづけていたのであれば、債務は半分以下になります。
多く支払いすぎて、逆に元本がゼロになっても支払っているのであれば、お金を戻してくれと請求することもできます。(過払い請求)
弁護士・司法書士が任意整理の依頼を受けるとサラ金業者に受任通知書を送り、今までの取引履歴を取り寄せて、利息制限法に基づいて引き直し計算をしますが、だいたい2〜3割は債務が減ります。
サラ金業者との取引期間が5年以上になってくると債務がなくなることもあり、過払金(債務者が払いすぎたお金)が発生している場合があります。
過払金額が大きくなると任意整理をした結果、借金がなくなり逆にサラ金業者からお金を取り戻すことができる場合もあります。
引き直し計算をするためには、本人がいつ借りて、いつ支払ったかという取引経過の詳細が必要になります。
ATM領収書等、しっかり管理されている方なら、引き直し計算を自分で行う事も可能ですが、そういう証拠となるものが残っていないのでしたら、弁護士、司法書士等を利用して、業者に取引明細の情報開示請求を出してもらいましょう。
メリット
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デメリット
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・債務者が裁判所に行く必要がない
・利息・損害金カットの交渉が可能・過払い金の回収
・和解契約が債務名義化しない |
・ブラックリストに載ってしまう
・横暴な債権者だと和解成立しない |
任意整理手続きにかかる費用一覧
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